- ■88 終戦の日に
- 日時:2008/08/15 23:50
- 名前:吹替版に愛の手を
- 五輪楽しんでますか?観ないと宣言したアタクシはつむじ曲がりのヘソ曲がりだと家族から宇宙人みたいに見られておりますとも。
あれほど持て囃されメディア露出も多く写真集まで出たオグシオが予選落ちしスエマエもメダルならず。谷亮子選手も出場出来る程余裕が無かった事がメダルを逃した後ようやく伝えられる状況。こんなに報道に持ち上げられてはプレッシャーも並大抵では無かったでしょうし、何しろ外国というだけで夥しいストレスとの闘いではと佐渡島に渡った事すらない私は怯えてしまうのですが。
バドミントンだけではありません。開幕前には金メダルを期待されていた選手達が,メダルならずとなった途端消えてしまいました。報道過熱に陥ったら最後プライベートは潰れ小学生時代の文集の恥ずかしい文章まで引っ張り出されてしまう。これ実は凶悪事件の犯人と似たような報じられ方。今の時代「功名」とは斯くも難しい。尤も実名はおろかメールアドレスさえ公表憚られる世の中です(ちょっと違うか)。
今年も終戦記念日です。63年も経って戦没者も生き残った人も死んだ祖父と同年代。ここ数年この時期になると田原総一朗さんの言説が頭に浮かびます。田原さんは「新聞社の戦争責任」について語っています。曰く日中戦争前から日本の新聞は国民に対し開戦を煽る記事を書き連ねて売り上げを伸ばしたという。昭和の戦争がマスコミに踊らされて始まった物だと言うようなもので,戦没者の死が無為に思えて来るのです。私祖父だって抑留で身も心も壊すような事は無かった。とはいえ徴兵制の無い現代全てを想像するのは不可能でしょう。
NHK「証言記録」のシリーズでは外地の補給の杜撰さが死者をさらに増やした事実が毎回当事者達の口から語られますが,司馬遼太郎さんによれば兵の疲弊,弾薬も底をつく状態だった前線の様子が正しく報道されなかったのは日露戦争ですでに有った事。負け戦を報道すると売り上げ部数が落ちるから,と。これでは国民が総意として戦争を求めたと言うようなものです。
今もマスコミは英雄を擁立しようと企て,しくじれば切り捨て知らん顔。使い捨てになるものかという気概も必要でしょうが,誰もがそう強くなれるわけではない。ただ一点「マスメディアはこういう事を恥ずかし気も無くやるんだ」と心に留め,乗せられないよう一歩引いて眺める事も心得なければいけないでしょうか。
くれぐれもメダルに届かなかった選手達が帰国後バッシングに遭わないよう願っています。メダルを逃し帰国途中神経衰弱で亡くなったなんて時代ではありませんが,応援していた皆さんには「おかえりなさい!お疲れ様!!」と暖かい気持ちで迎えてあげて欲しいです。