"V for Vendetta"のナタリー・ポートマンを何故誰も振らないのか不可解なほど凛々しい役をいっぱいされた坂本真綾さんは,今回の役とも食い違い無し。それゆえ物足りなさが払拭出来なかった。向こう見ずだったりアホな役も出来る力量に委ねてみようと吹替の作り手が企んでくれなければ,演じ手も聴き手も進歩無いです。『久米書店』ラスト2回に出演された国谷裕子さんと久米宏さんの対話や,"Pretty Little Liars"の小笠原亜里沙さんの声変わりの方がよほどインパクトがあった。 "One hundred"は毎回観ていますが,やっぱり戸松遥さんの可愛らしくエネルギーに溢れた声がイザベラ・モナーのくるくる変わる表情に寄り添わず,録画したのに消す機会多し。映像の「モンタージュ」と同じで,原音でイントネーションが平べったい場合でも,画面の中の人物がこんな顔した時にこんな風に音程上げ下げすると違和感無かったり上手く馴染んでピッタリですよ,というノウハウはあるようで,ありそうなのです。セリフを収録する段階で映像が出来上がっていない事も多いアニメ作品に慣れた声優さんは,そのようなセンスが育たないまま名声を掴んで行くのかも知れないなあ。それを見聞きする少年少女のセンスも磨かれずじまい。吹替制作の現場からは悲鳴も上がっているようなのに。 洋画吹替の制作機会となり得た地上波映画枠は日曜洋画が潰れジブリとコナンの割合が異常に高い金曜ロードSHOW!だっていつ倒れるか分からない。日本のティーンと,日本語吹替の未来は暗いぞ。