「大人気"韓国ドラマ"を追う」

森田―こちらは今年の春NHKの衛星放送で放送された韓国ドラマ「冬のソナタ」です。切ない初恋や悲しい出生の秘密が描かれ日本でも大ヒットし今月15日から再放送されることになりました。

今井―今韓国ではこうしたドラマが次々にヒットし激しい競争を繰り広げています。

森田-一寸こちらをご覧頂きたいんですけど(TV番組表を取り出し)これは韓国ソウルの今夜のTV番組表なんです。この赤で塗られているのが全部ドラマなんです。

今井-随分たくさんありますよね

森田―主なチャンネルは4つなんですけど首都ソウルで一週間に放送される新作ドラマはおよそ90本、東京のTV局の平均に比べて3倍に上るということなんですよね。

今井―注目を集める韓国のTVドラマ、その舞台裏を追いました。

"韓国ドラマ"が熱い

ソウル支局長-ソウルから東に車で2時間ここチュンチョン(春川)は「冬のソナタ」のロケが行われたところで人気が出まして、週末ともなりますと5千人の観光客で賑わいます。
「冬のソナタ」の映像)
ナレーション-「冬のソナタ」が韓国で放送されてから1年半が経ちました。しかし未だ人気は根強く残っています。公園の入場料などこの観光地に落ちるお金は多い日で1日500万円。なにも観光資源の無かったこの地に突如としてドラマがもたらした経済効果は絶大です。

<インタビュー>
男―「冬のソナタ」を見ていい所だったのでデートに来た

「大長今」の映像)
ナレーション-こちらは今最も人気のあるドラマです。朝鮮時代に実在した料理人が主人公です。テレビ局側がまず目をつけたのは料理です。王宮で食されていた宮廷料理を数多く登場させ、料理の由来や体にどれだけ良いかといった情報をふんだんに紹介することにしました。

(「大長今」の1場面)
大妃-始めての味だ これは何だ?
長今―「アワビの内臓粥」でございます。
大妃-内臓?
長今―新鮮な海藻で育ったアワビの内臓は海の味と栄養が詰まっています。

(韓国の伝統料理店)
ナレーション-見た目が美しいだけでなく栄養価も高いと評判になり各地で宮廷料理をメニューに加える店が増え始めました。

イ・ビョンフンD-国民所得が1万ドルを超えるとグルメ番組に関心が集まると言います。

ナレーション-さらにこのドラマは視聴者の意見を柔軟に取り入れながら台本を修正したことがヒットに結びつきました。主人公の女性宮廷料理人、その恩師にあたるこの女性は最初の設定ではドラマの中盤で暗殺される予定でした。
ところがホームページの掲示板に視聴者から「死なせないで」という要望が寄せられネット上で延命運動まで始まりました。
(掲示板の書込み「死ぬのは早すぎると思います。もう少し出演させてください」)

その結果製作者たちは台本を変更し恩師が殺されるシーンは6回分延びることになりました。こうした取り組みが実を結びこのドラマは今年韓国のTVで最高の視聴率51%を記録しています。

”韓国ドラマ”人気の秘密

「殴れ(パンチ)」の映像)
ナレーション-この際始めから視聴者の声をシナリオに積極的に活かそうというドラマも登場しました。主人公の女性ボクサーを二人の男性が奪い合う三角関係のラブストーリーです。このドラマのHPでは「どのカップルがお似合いでしょうか?」と敢えて意見を求めています。視聴者の声に従ってシナリオが変わることも厭いません。
放送直前まで視聴者の声を吸い上げるためドラマは長いこと作り置きができません。この日は放送日。今撮影しているシーンは12時間後に放送される予定です。プロデューサーのキム・ヨンソプさん、撮影のためほとんど家に帰れず、この三日間寝ていません。

キム・ヨンソプP-1週間ですべてを撮影して放送するのは大変です。俳優も徹夜続きでメイクしながら寝ています。

ナレーション-ロケが終わるとビデオテープは急いで編集室へ送られます。
(P「この車を先にいかせろ 急げ急げ」)
編集室でも視聴者の意見が優先されます。演技の評判が良い役者は出演時間が増やされ、評判の悪い役者は出演時間が削られます。放送が始まる午後11時まであと50分。時間との戦いです。編集作業が終わってビデオテープが完成、放送を出すコントロールルームにテープが届いたのは放送開始わずか15分前でした。

キム・ヨンソプP-一方的に伝えるだけでなく視聴者も製作に加わる楽しみを与える。それが今の流れなんです。

ナレーション-一方で短期間での製作は質の低下につながるという懸念も無くはありません。視聴者の要望を取り入れつつ質を落とさないよう最大限の努力をする。人気を集める韓国ドラマの勢いはこうした製作陣の熱意から生まれているのです。

今井-放送前15分前ですか!にできるというのはまるでニュースのようですね。
森田-見ててドキドキしましたね。それにしても内容も非常に多様でこの宮廷料理のドラマですか、面白そうですね見てみたいなぁなんて思いました。
今井-それから視聴者の意向を取り入れて同時進行でストーリーを変えていくという手法ですね、これ見ている側は楽しいでしょうけど、作る側製作俳優さんたちは大変でしょうね。