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生きるという心がなぜ悪いんですか?

クァンヒョンはトゥシクから妹のウンソを生かせと命じられ焦りつつもかつてチニョンと「救急方」という医書を勉強したことを思い出しながら処置を始める。クァンヒョンはウンソの胸を何度も押し続け、藍汁{チョクジュブ}*1細辛{セシン}*2を口に入れてみるがウンソの意識は戻らず、クァンヒョンは怒ったトゥシクに胸ぐらをつかまれたところにちょうどクァンヒョンの指示で呼ばれたチニョンが到着して、状況を聞いたチニョンが鼻の下に藍汁を塗って息を吹きかけるとウンソはようやく気がついた(クァンヒョンは藍汁と細辛を使うことは分かったが使い方が分からなかった)。
手当をしたチニョンはトゥシクに「重篤な状況は脱しました」とウンソの容態を説明し、「私ではなくペク医生が助けました」とクァンヒョンのおかげでウンソが助かったことを伝える。庭でウンソの様子を心配していたクァンヒョンは「病人は大丈夫です。病人は無事です」というチニョンの話を聞いて安心する。トゥシクは自分の妹を救ってくれたクァンヒョンを不意に抱きしめて「私ソ・ドゥシクはお前の名前を忘れない。もしお前に何か危険があれば私が命をかけてお前を助ける」と感謝の気持ちを表す。
その後、一人になったクァンヒョンは「病人は大丈夫です。病人は無事です」というチニョンの言葉を思い出しながら自分の胸を叩いて悦に入る...

やはりクァンヒョンのことが気になるインジュ。前日キベにクァンヒョンの奴婢登録簿は偽りで本当は彼は父親と都から牧場に来たのではないかと問いただすが、あくまでも牧場で生まれ育ったとしらを切るキベの態度を見て何かあると怪しんでいた。
次の日クァンヒョンは再びウンソのところを訪ねたところ、騒ぎ声が聞こえるので部屋に行ってみるとウンソは小刃で手首を切り再び自決を試みようと下女ともみ合いになっていた。クァンヒョンがウンソが持っていた小刃を取り上げ、傷ついた手首を持っていた布で縛るとウンソは怒りに満ちあふれ「お前だな。あえて私の体に手を付けたのは。生意気で身勝手な奴。あえてその汚い手で誰に触れるのか」と手を振り払う。さらにウンソはクァンヒョンが勧める煎薬もひっくり返し「助けてくれて感謝の涙でも流してくれると思ったか?いつ私がお前に助けてくれと頼んだか?すべてが台無しだ。亡くなった夫についていきたかったのにお前のために再び後ろ指を差されて怯える人生を続けることになった。だから明らかなお世辞を言うのなら出て行きなさい」と冷たく言い放つ。しかしクァンヒョンは「私は感謝されることを期待してここに来たのではありません。それに今まで患者から感謝の言葉を聞いたことはありません。私は馬医として喋らない馬や牛の治療をしてきました。しかし動物たちは喋れなくても目で助けてくれてありがとうと感謝してくれます。あなたもその時と同じ目をしています。あなたは若くして未亡人になったと聞きましたが、なぜ生きるということが悪いのですか?若奥様も人なのに人が生きたいのは当然です。なぜ生きたいという心を恥じるのですか?」と静かに諭す。

ミョンファンはチニョンとソンハを婚姻をさせる時がきたと考え二人の婚礼を進める。チニョンはイノクから自分が知らないうちにソンハとの結婚の準備が進んでいると教えられびっくりする。ソンハは父ミョンファンにチニョンの心が重要だとして自分が説得するのでもう少し待ってほしいと懇願する。
帰宅したチニョンはソンハに会うと意識してどぎまぎしてしまう。チニョンは「結婚だなんて、それもあなたと私。夢にも考えたことがなかったわ。みんなおかしいんじゃないの?知ってたの?」と聞くと、ソンハは「あぁ知ってた。チニョンが鈍いことは知っていたが、これ程だとは知らなかった。少しくらい気づいていると思っていた」と呆れるが、チニョンは「私とあなたは姉と弟で、そんな話正気じゃないわ」と戸惑いを見せる。チニョンが望まなければ結婚が行われることは決してないだろうとチニョンをひとまず安心させるソンハだが、「ところでお前は夢にも考えたことがないというが、俺はずっと夢見ていた。俺はずっと以前からお前を思っていた。なので今からでも一度考えてみてくれないか?」とチニョンに自分の心を告白した。その後一人で子供の頃からずっとチニョンに自分の心を向けていたことを思い返していたソンハは「馬鹿なやつだ。どうしてそれがわからない」とつぶやく。

何日かぶりに帰宅したクァンヒョンは、キベからインジュが自分の過去を調べていることを聞く。オ・ジャンパクは「恵民署{ヘミンソ}へ通うのは止めておいたほうがいい。詳しいことは知らないがお前の父はかつて昭顯世子{ソヒョンセジャ}の死に関することで大逆罪に問われていたから、お前の身元が知られると何が起きるかわかるか?捕まるかそれ以上のことになるかもしれない」と打ち明けるが、クァンヒョンはそれでも恵民署へ通うことは諦めないと固い意志を見せる。その後クァンヒョンは恵民署でインジュを見かけても顔を合わさないようにする。
淑徽{スッキ}王女はカク尚宮の引き止めにもかかわらず、わざわざ寒い冬の日に上着も着ずにブランコに乗る。風邪をひいて恵民署に行ってクァンヒョンに診てもらうという魂胆だ。王女はブランコを止めてカク尚宮に自分の額を触らせ「どうだ熱は出てないか」と尋ねるが、カク尚宮は首を振って「何ともありません」と答え王女をがっかりさせた。王女は「手や鼻はこんなに冷えてるのに私は誰に似てこんなに丈夫なの」と嘆き、「もう少しブランコに乗らなければならない」と女官に変わってマ武官に思いっきりブランコを漕がせる。
その甲斐あって恵民署の前までやってきた王女は本当に風邪をひき、くしゃみをして熱も上がったと大はしゃぎする。ところがクァンヒョンを呼びに行ったマ武官から医生たちは今重要な授業のため診察できませんと言われ王女は泣いて悔しがる。偶然そこで王女は自分と全く同じようにクァンヒョンを訪ねに来たウンソの姿を目撃し、彼女がクァンヒョンを訪ねてきた理由について疑問を抱く。
恵民署の医生教育場では授業が始まる前にクァンヒョンが医生のテソプとチュシクたちから馬糞の臭いがするとからかわれていた。ソクチョルは授業が始まる際に医生たちに来月医官取材*3を行うと伝える。コ・ジュマンは顯宗{ヒョンジョン}にそのことを報告すると、顯宗は馬医出身の医生に会ってみたいと要望するが、コ・ジュマンはそれにはその者が試験に通らねばなりませんと述べる。

医生たちは各自恵民署に来ている患者に問診をしている。特にどこも問題がないという患者の問診をしていたクァンヒョンを見ておかしいと感じたテジュはクァンヒョンと強引に交代し自分が代わりに問診をする。患者の頭が重症だと気づいたテジュは急いで医女を呼び患者を診療室へ連れて行かせる。その様子に慌てふためくクァンヒョン。テジュは診察に来た医官に患者は脳に傷がある可能性があると報告し、医官が診察した途端、患者の容態は急変し倒れて気を失う。テジュはクァンヒョンに患者は虚中*4を起こし難しいとされる3箇所に鍼を打つ必要があるがあの状態だと手遅れで亡くなるだろうと冷静に告げる。クァンヒョンはさっき患者はなんとも何ともないと言ってたのにどうしてと呆然とするが、テジュは「二度目に俺が診た時、脳に傷があることに気づいたが今日はもう手遅れだ。もし昨日お前が診ていたら、お前の無能さが病人を死なせただろう。お前は鍼術試験では優秀だったが誤診をしたようだ。それで医官になれると思うのか?馬医でもやればできるなど証明できるわけがない」と軽蔑した口調で言い放って立ち去る。
打ちひしがれるクァンヒョンの側を死体が運ばれていくが、その死体は先程の患者だった。愕然としていたところに偶然チニョンと出くわしたクァンヒョンは「怖い。俺が時期を逃して病人を死なせたらどうしたらいいのか...」と悩みを吐露する。これに対しチニョンは「私も清国にいたときそういうことがあったわ。敗血症の患者がいたけど幸いにも時期を逃さず治療して生かした。今でもそのことを考えると怖くなる。誰にでも間違いはある。しかし間違いは生命に関わる。絶えずその恐怖と戦わなければならない」と慰める。しかし急に「だからもっと勉強しなさい。明日は試験があるじゃないの。ここでのんびり座っている場合じゃないでしょう」と叱咤してクァンヒョンの腕を掴み無理やり立ち上がらせ背中を叩く。クァンヒョンは「分かった。でも力を入れ過ぎだ。女性とは思えないほど怪力すぎる」と笑ってたしなめる。またもやソンハはそんな二人の楽しそうな様子を遠くから見てしまうのだった...

翌日に薬剤の試験を控えたクァンヒョンは夜遅くまで薬剤室で勉強していたところ、チュシクからテマンが呼んでいると言うのでその部屋へ向かう。部屋の中は真っ暗でテマンを呼んでみたものの誰もいないようだった。ところが急に部屋の入口が閉まり外から鍵がかけられクァンヒョンは閉じ込められる。それは普段からクァンヒョンのことを軽蔑するテソプとチュシクの謀略だった。自分が閉じ込められたことを知ったクァンヒョンは「一体ここはどこだ...」と周りを見回すと、死体が置いてありようやくこの部屋が霊安室だということに気づいて驚く。
クァンヒョンは外に出られるよう戸を叩いて助けを求めたり、あちこちの窓の格子を外そうとするがびくともしない。するとある死体の腕が動いたので驚いてその顔を見たところ、それは昼間に自分が問診したのに急変して亡くなったあの患者だった。しかし指が動くのを見てすぐに脈診したところまだ生きていることが判明したのでクァンヒョンは再度大声で外に向かって助けを求めるが全く反応がない。今すぐ手当しないと本当に死んでしまうと考えたクァンヒョンはテジュが話していた鍼を打つ3箇所を思い出して自分の持っていた鍼を取り出すが打つのをためらう...

翌日の試験の時間になってもクァンヒョンが医生教育場に来ないのでテマンは心配し、クァンヒョンを閉じ込めたテソプとチュシクらはお互い嘲笑しあう。他の医女からクァンヒョンが試験を受けに来なかったことを知ったチニョンは試験の終わったテマンと手分けしてクァンヒョンを探す。そこへ通りかかったテソプとチュシクが「100日かかっても見つかるまい」と小声で話しているのが聞こえ、チニョンは毅然とした態度で彼らを呼び止めクァンヒョンの居場所を聞き出そうとする。チュシクはチニョンに医女のくせにお前は誰だと見下すが、(かつて書店でチニョンに叱られた)テソプから"イ・ミョンファン院長の娘だ"と耳打ちされた途端、恐れをなして霊安室へ案内し部屋の鍵を開ける。部屋の中には座って眠っていたクァンヒョンがいた。チニョンはクァンヒョンを起こして連れ出そうとすると「ちょっと待ってこの者も...」と指差すので、その先を見たチニョンは言葉を失いテマンはひっくり返る。
「クァンヒョンが死人を生き返らせた」との話が広まって恵民署は大騒ぎになり(誰が知らせたのかよくわからないんですが{#困った})、コ・ジュマンをはじめ皆が霊安室へ駆けつけるとクァンヒョンは生き返った患者を背負って現れる...

放送日
○韓国MBCでの放送:2012/11/20
○衛生劇場での初回放送:2013/3/29
○NHK-プレミアムでの放送:2013/10/20

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