私の力を振りかざしてみましょう!

自分の命を助けたクァンヒョンを御医{オイ}に封じた顯宗{ヒョンジョン}は重臣たちの反発にあった。医官試験に合格していない医官が御医になると法が乱れて王室を揺るがす上、恵民署{ヘミンソ}の医生もまともに修了していない者だと顯宗に激しく抗議した。だが重臣たちの内心は自分たちとの協力を拒否したクァンヒョンが正三品堂上官の御医という高い職位に就けば自分たちに害が及ぶことを憂慮してクァンヒョンが御医になることに猛反対していた。しかし、顯宗は「余が生きてきたのが嬉しくないようだな」と怒る。そして重臣たちに向かって「余を治した医官をそばに置いて見守ってもらうつもりだ。しかもペク医官の医術は広く知られている。余が再び病気になるのを望まないならば止めなさい」と脅す。

左議政{チャイジョン}と重臣たちはクァンヒョンへの顯宗の信頼が揺らぎそうにないので、朝廷の法を重視する大妃{テビ}を訪ねて行って抗議した。しかし大妃でさえ「この国の医官の中で最も信頼性の高い者だ。これがこの国で最も位が上である私の答だ。法にしばられることが時にはどれくらい愚かなことか私もペク医官を通じて学びました」としてクァンヒョンを惜しみなく支持する姿を見せた。そして「それは左議政たちが出した協力を断ったから反対しているのか。ならば私はその話に答を差し上げる」とクァンヒョンを大妃の前に呼んで無限の信頼を示した。これに対し表情が固まる左議政と重臣たち。左議政は「大妃様の心まで得たとは」と皮肉る。

権力に興味のないクァンヒョンは御医という高い職責に負担を感じ、病人を近くで見守ることができないことを心配して御医の座を受け入れるのを悩んでいた。しかし舎巖{サアム}道人はクァンヒョンに「民の上に君臨しようとする人々に権力をどのように使うのか本当の力をお前が直接見せてくれ。重臣の抗議に退くな」と御医の座で遠大な抱負を広げるよう説得し、チニョンとインジュもクァンヒョンを支持した。そして重臣たちの姿を見て、クァンヒョンは御医としての権力を利用することを決心する...

ついに正式に御医になったクァンヒョンは、以前の御医とは違い医官、医女に身近に接するようにし、内医院{ネイウォン}の薬剤を恵民署と活人署{ファリンソ}に等分して、民のために内医院の医官の外部診療を当番により循環勤務するようにするしたり、また民が無料で治療を受けられる私設の薬屋を設立し、人々を積極的に世話するなど様々な不当な習慣などを改め医療改革を果敢に断行する。

ソンハは父ミョンファンの悪行がすべて明らかとなり学問を磨くために清国に行くことにしていたが発つ予定を早める決心をする。清国に発つ前にチニョンへ最後の贈り物を用意し、翌日トゥシクにそれを託した後、静かに清国へ向かう船に乗る。ソンハが残した手紙と鍼箱に沈痛な思いを受けたチニョンは、ソンハの切ない心がびっしり込められた手紙を見て涙を流した。「最後にお前に何を与えなければならないか迷った。婚礼の日にお前のきれいな髪に似合うかんざしが良いのか、いつも走り回っているお前の足にぴったりな靴が良いのか。そうするうちに結局選んだのがこれだ。お前に最もよく似合う、そしてお前がいつも大事にすることができるのものだから。これはもしかしたら、少しでもお前のそばを守りたい私の最後の欲かも知れない」との手紙を読んだチニョンは急いで渡し場に走って行ったが、すでにソンハを乗せた船は遠くに離れており、チニョンの目には涙が溢れた。そして同じ頃、茫然と海を眺めてチニョンとの思い出を思い浮かべたソンハは「必ず幸せになれ。この世の誰よりも幸せになれ」と言ってチニョンの幸福を心の底から祈った。

様々な難関を乗り越えいよいよ婚礼を控えることになったクァンヒョンとチニョン。恵民署の医員は婚礼当日、意地を張って患者の世話をするクァンヒョンが鍼を逆に持つなど特に失敗が多いので笑いをこらえられずに、婚礼準備をするようクァンヒョンを外に追い出した。またチニョンも初夜を送る準備をしろと背中を押すカヨンの勢いに押されて外に追い出されてしまい、二人は思いもよらず庭で会うことになった。わけもなくうつむいたチニョンは「後で会いましょう」としてあわてて席を外そうとしたが、それとなく微笑を浮かべたクァンヒョンは「ちょっと奥さん」と言ってチニョンの足をつかんだ。クァンヒョンはまた「奥さん」という呼称に驚くチニョンを向かって「どうなんだ。二時間後にそう呼ぶはずなのに。お前も一度"旦那様"と呼んでみろ」と催促すると、チニョンの頬は即座に赤くなった。しかしクァンヒョンは明るい微笑を浮かべたままそのようなチニョンの手を握り、いつの間にか懐の中からきれいな指輪を取り出してチニョンの手にはめて「一生これに勝る物はないかもしれないが、この手を一生絶対離さない」と心のこもった告白をし、二人はお互い向かい合って明るく笑った。

二人は王女、キベ、インジュなど、大切な周囲の人々の祝福の中で、婚礼を上げる。花嫁チニョンの美しい姿に我を忘れたクァンヒョンは婚礼が行われる中ニコニコ笑いを隠すことができず、チニョンも明るい笑顔をいっぱい浮かべた。

そして数年後、舎巖道人とソ・カヨンは清国の医術を習って朝鮮に戻り、インジュと間抜けたち(テジュ&テマン)と再会した。王命により地方の県監{ピョルガム}になったクァンヒョンは直接畑を作る民のところに訪ねて行って彼らの苦情を聞いたり、伝染病が広がる所に訪ねて行って医術を広げる真の県監になっていたし、チニョンもまた病気の人々の世話をしていた。クァンヒョンは「私はいやしい馬医の出身なので品行がなくて気楽に座っていることはできない」として直接足で走り回り、クァンヒョンの破格的なやり方は妻になったチニョンも同じだった。クァンヒョンとの間に息子を一人を産んだチニョンは怪我した民がいる所ならばためらいなく飛び出してクァンヒョンとの夫唱婦随を自慢した。

そんな中、堤防が崩れて人夫や馬が怪我をする緊急事態が起きた。これに対し人々はもちろん、馬まで直接見回したクァンヒョンに人々は「些細な獣まで見て回るとは...どうしてお上がそのような下品なことをする必要があるのか」と引き止めるが、クァンヒョンは獣の命の大切さを明らかにする。「馬医がするような卑しいことをどうしてお上がするのですか」と止めてほしいという官吏の要請を受けたチニョンも、首を横に振って「今あの方が最もよく似合う嬉しいことをしているのです」と明らかにした。

子供の頃、最初に鍼を打った頃のように、今もなお鍼を打った後明るく笑うクァンヒョンであった...

放送日
○韓国MBCでの放送:2013/3/25
○衛生劇場での初回放送:2013/5/30
○NHK-プレミアムでの放送:2014/6/29

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